モノマド辞典:塗装

塗装とは

設備や機械を支えたり精度が求められる部品に使用されたりと、あらゆる場面に使われる金属は、長期にわたって強度をは持たなければいけません。そのため金属の表面は外部からの影響から守る必要があります。

金属塗装は製品の見栄えをよくするだけでなく、金属の性質を保護する働きもありますので、金属の製品には塗装が必要不可欠なのです。

塗装の役割

塗装の役割は、「保護」「美観」「機能」の3つに分けることができます。

まず、塗料を塗ることで製品の表面を覆うため、素材の腐食や酸化、摩耗から防ぐことができ、そのもの自体の耐久性も大きく向上させることができます。また、様々な色の塗料で見た目を良くするという美観効果もあります。特に粉体塗料などは光の反射も考慮した製品が使用されることも多いでしょう。

さらに塗料には成分内に防カビや抗菌といった付加的な機能が備え付けられています。そのため、製品の耐久性だけでなく、塗料を塗ることにより衛生面を大きく向上させる点も大きな役割です。

塗装の種類

塗装の種類は製品の材質や仕上がり状態によって様々な種類があります。一般的に使用される塗料の種類をご紹介します。

焼付け塗装

塗装皮膜の樹脂に熱を与え、素材に焼き付けることで皮膜を形成する塗装方法となります。

一般的な塗料は加熱するとドロドロに溶けますが、焼付け塗装には加熱すると硬化する専用の塗料でおこないます。焼付けに必要な温度は様々で、100℃くらいのものから200℃以上にも及ぶものまであります。

焼付け塗装をすると高度や耐久性が高くなり、熱を冷ませばすぐにでも製品として使用できるメリットがあります。

電着塗装

電着塗料という特殊な塗料が入った容器の中に塗装する製品と電極を入れ、片方をプラス、反対側をマイナスの電気を流すことで塗膜成分を表面に付着させる塗装方法となります。主に防錆処理で用いられ、自動車のボディの下塗り前に実施されますのが代表的です。

電着塗装は対象物が通電性のあるものに限られますが、一度で均一に被膜でき、他の方法では難しい部分も塗ることができるため、非常に効率がいい塗装方法ともいえるでしょう。

静電塗装

製品にプラス電極、塗料噴射装置の方にマイナス極を流し、塗料ミストを吹き付けていく塗装方法となります。

電着塗装は塗料が入った容器に丸ごと浸して全体を覆うように塗装しますが、静電塗装は細かいミストを静電気でまとわりつかせるような塗装となるため、気泡ができず、美しい仕上がりになります。また塗料の無駄な飛び散りがないため、塗料の節約や作業効率の向上となります。

紫外線硬化塗装

紫外線(UV)を照射することにより、塗料がラジカル重合反応を起こし硬化するのを利用して塗装する方法です。紫外線の照射時間は秒単位となり、他の塗装方法と比較すると硬化するための時間がかなり短く省エネ効果があります。さらに有害物質も発生しないため、地球環境を保護するための塗料として最も注目されている塗装方法です。

焼付け塗装の種類

焼付け塗装は使用する塗料が液体の「溶剤塗装」か粉末の「粉体塗装」に分けられます。さらにそこから塗料の種類も細かく分かれますのでご紹介します。

溶剤塗装

有機溶剤に樹脂や顔料、添加剤等を溶解または分散して塗装しやすくした状態の塗料です。

有機溶剤は溶解できるものが多く、蒸発速度も速く揮発性に優れているため塗装作業に幅広く用いられています。ただし有機溶剤は中毒性や大気汚染の危険性があるため、使用には様々な規制や安全対策が必要となります。

・メラミン塗装
「合成樹脂焼付塗装」とも呼ばれ、焼付き塗装の種類の中ではもっとも一般的な塗装方法です。

塗料の値段も比較的安く、コスト面でもメリットがあります。また耐候性や耐久性、耐水性なども向上でき、ツヤ加減も自由に調整することができます。

・アクリル塗装
アクリル樹脂を主成分とする塗料で、発色が良く仕上がりが鮮やかになる特徴があります。

アクリル塗装のほとんどは1液型で塗料を購入したらすぐに使用することができ、重ね塗りの必要もありませんので非常に使いやすいというメリットがあります。またカラーバリエーションが豊富であることや、塗料自体が安価で購入できる点からもっとも手軽な塗装方法ともいえるでしょう。

・フッ素塗装
家の外壁や道路の資材に用いられている塗装方法で、汚れを弾きやすく紫外線に強いため耐候性に優れている塗装方法です。ツヤの調整は難しく価格も高めの塗料とも言えます。

・エポキシ樹脂塗装
優れた防食性や強力な接着性、耐摩耗性を持ち合わせていますので、錆びやすい部分の外壁や屋根を塗装する際に多く用いられる塗装方法です。ただしエポキシ樹脂塗装は紫外線に弱いため、必ず上から紫外線に強いトップコートを塗装する必要があります。

・シリコン樹脂塗装
弾性があるシリコン樹脂でできた塗料で、伸縮性があるため壁のひび割れやすい部分に用いられます。

耐久性も他の塗料と比べると非常に優れています。ただしシリコン樹脂塗装は塗装が膨れ上がってしまう特徴もあるため、仕上がりの見栄えが悪くなることもあります。また、熱がこもりやすく蓄熱によってはかなり塗膜が膨れ上がることもあります。

粉体塗装

固形に塗料を使用して対象物に吹き付けておこなう方法(吹付け塗装)もしくは粉のプール内に高温にした対象物を浸漬して塗装する方法(浸漬塗装)を粉体塗装と言います。

基本的には静電塗装と同じで電気を通して塗料を密着させていきますが、浸漬塗装は静電気を使用せずそのまま塗料を乗せていくため高膜厚に仕上げることができます。