射出成形金型

射出成形金型とは

射出成形金型は、成形品を囲んで凸部と凹部に分割されます。凸部はコア(Core)、凹部をキャビティー(Cavity)と呼び、合わせたときの隙間に溶かしたプラスチック樹脂に圧力を加え充填します。金型の中で冷やし硬化させ、取り出したものが射出成形製品です。

射出成形金型は、固定側取付版、固定側型板(主型)、可動側型板(主型)、突出板(イジェクタプレート)、スペーサブロック、可動側取付板、ガイドピン、ガイドブッシュ、リフターピン、ロケートリング、スプールブッシュ、突出ピン(イジェクタピン)から構成されます。コアとキャビティーは、それぞれ可動側型板と固定側型板に直接加工、あるいは入駒(いれこ)により取り付けられます。それ以外の構成部品は、市販品のモールドベースを使う事で製作期間の短縮やコストダウンが可能であり一般的です。

各部品の解説

固定側取付板:成形機固定プレート
固定側型板(主型):製品の外観部分を形成するキャビティープレート
可動側型板(主型):製品の内側部分を形成するコアプレート
突出板(イジェクタプレート):突出ピン、リフターピンを取り付け押し出すプレート
スペーサブロック:突出板の移動空間を保つ為のプレート
可動側取付板:成形機固定プレート
ガイドピン:金型の開閉時に位置を合わせる為のピン
ガイドブッシュ:ガイドピンが嵌り合うブッシュ
リフターピン:突出板を元の位置に押し戻す為のピン
ロケートリング:成形機と位置合わせする為のリング
スプールブッシュ:樹脂が射出される入口
突出ピン(イジェクタピン):成形品を金型から引き離す為のピン

射出成形金型とは

射出成形金型の種類

射出成形金型には、構造から2プレート金型と3プレート金型と2つに分けられます。

・2プレート金型
固定側型板と可動側型板の2枚の主要プレートで構成される金型の基本形。

・3プレート金型
固定側型板と可動側型板に加えランナーストリッパーの3枚の主要プレートで構成される金型。ランナーストリッパーによりランナーが自動でカットされるのが大きな特徴です。

ランナーとは、射出成形機から製品までの樹脂の通り道の事で、3プレート金型は、ランナーに工夫がしやすくする事ができます。プラモデルをイメージするとわかりやすいのですが、プラモデルは複数の形状の異なる部品がフレームのようなもので繋がっていたと思います。あのフレーム部分が射出成形機から製品までの樹脂の通り道、ランナーです。

ランナーの設定バランスが悪いと樹脂が上手く充填されずショートショットなど製品不良になってしまいます。部品が繋がるランナーの距離が異なる場合、ランナーの距離が長い方は、ショートショットになってしまう可能性が高く、明らかにバランスが悪くなってしまいます。同じ形状のものならばわかりやすいのですが、形状が異なる場合、ランナーの径や長さを工夫する必要があるのです。それを制御、設定しやすくなるメリットがあります。また、3プレート金型は1つの金型で1ショット毎に4個取り8個取りのように複数個の製品が作る事が容易になります。1ショットに複数個の製品を作る事が容易になりますと、製品単価が安くなります。しかし、金型が大きくなる事や、複雑になってしまい金型の製作費がコスト高になってしまうと言うデメリットがあります。

金型の名称

金型を構成するうえで最も重要な2つの金型部品にコア、キャビティーがあります。コアは雄型キャビティーを雌型ともいいますが、 例えばテレビのリモコンの場合、操作する表面側がキャビティー、内側の製品として見えない部分がコアとなります。この金型部品は、射出成形品の外観や形状に直接作用します。

コア(雄型)

可動側型板に設けられます。成形品を金型から取り出す突出装置をイジェクタピンと言います。コアにはイジェクタピンを突き出す穴が設けられるのが一般的です。金型が開きはじめると、成形品はコアに貼り付いていますが、金型が完全に開いた後、イジェクタピンにより金型から取り出されます。また成形品内側から取り出しを容易にする為,キャビティーの角度以下のテーパ(抜き勾配)をつけなければなりません。

キャビティー(雌型)

固定側型板に設けられます。成形品の外観を大きく左右する為,キャビティーは傷のないよく磨かれた表面に仕上げる必要があります。場合によっては鏡面仕上げや,クロームメッキを施す場合もあります。また金型から成形品取り出しを容易にする為,可能な限り大きなテーパをつけなければなりません。

射出成形金型イメージ図

プレス金型

プレス金型とは

上から下方向に強い力を加えるプレス機械に取付けて金属の板材に加工を行う金型の事です。1対のパンチ(雄型)とダイ(雌型)金型で材料をはさみ、加圧して加工します。

穴あけ、切断、曲げ、伸ばし、絞り行い目的の寸法に成形、保持します。パンチをプレス機の上下に稼働するスライドにセットし、ダイをプレス械の固定ボルスターにセットして材料を加工します。

一度金型を作ってしまえば、安定した品質の製品を大量に作ることができますので、プレス金型のメリットはなんといっても大量生産に向いているということです。熟練した職人でなくてもばらつきがでない為、作業の質を一定に保つことができます。

プレス金型の種類

プレス金型はその生産方法により、単発型、順送型、トランスファー型、ファインブランキング型などの種類があります。

単発型

プレス機が上下に動く1ステージに1つの工程のみ加工を行うためのプレス金型です。人が手でプレス機を動かし、材料を供給して作業することを前提に作られた金型で、自動化などはされていません。生産数の少ないものに向いています。

順送型

1つの金型の中に複数の工程を均一に配置し、ステージ毎にワークを順次送って加工する金型です。材料は、ロール材を使いレベラーなどで平らにして供給します。人の手による材料のセットが不要ですので大量生産向きですが、金型が複雑になるので初期費用が大きくなります。またロール材を内側のみ加工して使う為、外側がロスになり材料の歩留まりが悪いといったデメリットもあります。

トランスファー型

ワークを順に搬送(トランスファー)していくことで自動加工を実現したもので、基本は単発型と同じです。ワークの金型間の移動は、搬送装置で送っていくため、人の手を使わずに自動でワークが次の工程に流れます。トランスファー型は順送型と比べると生産数は落ちますが、歩留まりが良いのが特徴です。

ファインブランキング型

ファインブランキングとは、パンチとダイのクリアランスを小さくし、板押さえ及びイジェクター(逆押し)で材料を固定し加工を行う加工方法です。被加工材を固定し圧力を加えることで延性を高めて加工を行うことにより、平滑なせん断面を得ることが出来る静水圧原理(金属は加圧されると塑性変形能力が高まると言う効果のことです。)を活用しています。

一般的なプレス加工よりミクロン単位の精密なプレス加工が可能です。せん断面が平滑で美しく仕上がることから、後処理が不要といったメリットがあります。また、曲げや絞り、せん断などを組み合わせたハーフシャー(半抜き)、潰し、凹形状のザグリなどの複雑な成形も可能です。

他の種類との大きな特徴は次にあげる4つです。
・板押さえには、V形突起があり被加工材を固定します。
・ダイの内部には被加工材のタワミを押える為にイジェクター(逆押え)を配置します。
・ダイの刃先にはRをつけます。(パンチの対面の角に応力集中を避ける為)
・パンチとダイのクリアランス(隙間)は被加工材の板厚の0.5%程度(ほぼゼロ)です。

ファインブランキング型

プレス金型の構造

プレス金型の構造は、刃部、保持部、補助部の3つに分けられます。プレス金型の一番重要な部品は、パンチ及びダイなど穴あけ、切断、曲げ、伸ばし、絞り加工をし、被加工材に直接作用する刃部です。それ以外に、刃部の位置関係を保って精度を出す必要があります。

パンチプレート、ダイプレートなど、ダイセットに刃部がしっかりと取り付けられる部分とプレス機械にダイセットを固定する部分を保持部分といいます。他にガイドピン、ガイドブシュ、コイルスプリングなど加工を補助するための補助部があります。

・刃部
パンチ、ダイなど。
・保持部
パンチプレート、ダイプレート、ダイセットなど。
・補助部
ストリッパプレート、ガイドピン、ガイドブシュ、コイルスプリングなど。

プレス金型の構造

金型製作

金型製作とは

金型とは、金属・プラスチック・ゴムといった材料にプレスなどの加工をして、部品を製造する際に使う、主に金属製の型のことを言います。金型自体は非常に高価なものですが、同じ形状のものを精密かつ大量に生産する際に利用されます。モノマド辞典では、金型製作の工法を種類別に詳しく解説していきます。

  • 射出成形金型は、成形品を囲んで凸部と凹部に分割されます。凸部はコア(Core)、凹部をキャビティー(Cavity)と呼び、合わせたときの隙間に溶かしたプラスチック樹脂に圧力を加え充填します。金型の中で冷やし硬化させ、取り出したものが射出成形製品です。
  • プレス金型とは上から下方向に強い力を加えるプレス機械に取付けて金属の板材に加工を行う金型の事です。1対のパンチ(雄型)とダイ(雌型)金型で材料をはさみ、加圧して加工します。
  • 金型とは、金属・プラスチック・ゴムといった材料にプレスなどの加工をして、部品を製造する際に使う、主に金属製の型のことを言います。金型自体は非常に高価なものですが、同じ形状のものを精密かつ大量に生産する際に利用されます。
  • 鍛造用金型とは、材料である金属を溶かして流動性を持たせ、材料を目的の加工物の形状に成形加工するための金型をいいます。金型は砂型と違い、できあがった鋳物を取り出す際に壊すことなく数千~数万回繰り返し使用できますので大量生産に向いています。
  • 鍛造用金型は寸法精度が高く複雑な形状を背早く成形することができるため、小型の製品の大量生産に向いていますので、自動車のクランクシャフトやコンロッドなど強度が求められる部品の製造に使われています。

鋳造用金型

鋳造用金型とは

鍛造用金型とは、材料である金属を溶かして流動性を持たせ、材料を目的の加工物の形状に成形加工するための金型をいいます。金型は砂型と違い、できあがった鋳物を取り出す際に壊すことなく数千~数万回繰り返し使用できますので大量生産に向いています。

そのほかにも砂型と比べて寸法精度が優れていることや、鋳物が緻密で機械的性質に優れているという特徴もあります。さらに金型は砂型と違い熱伝導に優れているため、冷却速度が速いことも大規模な生産工場での大量生産に向いている理由の一つとも考えられます。

反対に、金型の製作は緻密な形状を製作するため多くの製造時間を必要とします。そのため金型製作のコストが高く初期投資が高くなりがちです。また、複雑な形状や大型の製品の製作には向いていないという特徴があります。

金属を溶かして成形する鋳物は、鉄系鋳物、非鉄系鋳物に大別されます。

鋳造用金型とは

鋳造用金型の種類

鋳造用金型は大きく「重力鋳造用金型 」「低圧鋳造用金型」「ダイカスト用金型」と呼ばれる3つの種類に分けることができます。金型を使用して目的のものを作ることに変わりませんが、金型への注湯方法が違ってきます。

重力鋳造用金型

重力鋳造用金型

重力鋳造用金型は型上部に供給口が設けられ、上から下の型内に重力によって充填される形状の金型です。この重力鋳造用金型を用いた鋳造方法を重力鍛造またはグラビティ鋳造とも呼ばれています。

重力鋳造用金型は鋳造方法自体が非常に容易に条件設定できることや、砂中子を使用して複雑な形状が成形できるため、製品形状に左右されにくいという特徴があります。また、熱処理もできるため機械的性質の安定化も容易におこなえます。

しかし金型へ供給する時に酸化物を巻き込んでしまったり、金型への充填速度や供給時の流速調整が困難というデメリットもあります。

重力鋳造は簡単に製品が生産できるため従来は難しい工程でしか生産できなかった部品を重力鋳造用金型で生産できないかなどの検討が多くされているため、コストダウンに大きく貢献できる製造方法ともいえるでしょう。

低圧鋳造用金型

低圧鋳造用金型

低圧鋳造用金型はLP型(ロープレッシャー)とも呼ばれ、密閉容器内の容湯面に低い気圧を与えて重力とは反対方向に材料を押し上げて注湯する方法です。気圧の変化によって型内の隅々まで行き届くため、高品質な製品を作ることができます。

また、中子(なかご)を使用すれば中空やアンダーカット等の複雑な形状の製品も作ることができます。

一方、低温・低圧で鋳造するため薄肉の鋳物の加工には向いていません。さらに気圧を変化させてゆっくりと材料を流し込むため製造時間が長く、生産性は良いとはいえません。

しかし近年ではアルミニウム合金などの注入をコントロールする給湯装置を開発し、低圧鋳造が苦手としていた薄肉で軽量な鋳物を成形したり鋳造時間を短縮する加工技術も向上してきました。

ダイカスト用金型

ダイカスト用金型

溶けたアルミニウムや亜鉛、マグネシウムなどの合金を素早く高圧で金型内に流し込み、急速冷却をして製品を製造するための金型です。元となる金型次第で高精度で複雑な形状の製品も作ることができる最新の鋳造方法で、生産性も高くコスト面でも有利な製造方法ともいえるでしょう。

しかし、溶けた金属を金型に流し込む時に周囲の空気が製品に入り込む傾向があるため鋳巣が生じます。さらに大量生産に向いている金型であるものの、通常の金型に比べて金型の製造コストが高く、寿命が短いという特徴もあるため、寿命を迎えた金型は再び同じ金型を製作する必要があります。そのため少量生産には向いていない金型でもあります。

ダイカスト用金型によって製造されるものには、自動車のエンジンやトランスミッションなどのアルミの部品が最も有名です。さらに身近な製品としてパソコンやプリンターなどの本体部分、釣具のリールやカメラなどがあります。

鍛造用金型

鍛造用金型とは

鍛造とは工具や金型を用いて固体材料の一部や全体を圧縮または打撃で成形することをいいます。金属に圧力をかけると金属が鍛えられ、強度が格段に増すという特徴がありますので、自動車部品や産業用設備、航空機や船舶などの重要保安部品の製造に使用されています。

鍛造には人の手で成形する「自由鍛造」と金型で成形する「型鍛造」の2種類があり、型鍛造は圧延鋼材から適当な長さに切断されたビレットと呼ばれる素材を製品の寸法に合わせた金型で圧力をかけて製品を作る方法です。

鍛造用金型は寸法精度が高く複雑な形状を背早く成形することができるため、小型の製品の大量生産に向いていますので、自動車のクランクシャフトやコンロッドなど強度が求められる部品の製造に使われています。

鍛造用金型とは

鍛造用金型の種類

鍛造用金型は「熱間用金型」「温間用金型」「冷間用金型」の3つに分けることができます。

熱間鍛造用金型

熱間型鍛造では鋼材を再結晶温度以上に加熱するため大きく変化することができるため、より複雑な形状を作ることができます。しかし高温状態からの冷却による熱収縮や黒色酸化鉄被膜(スケール)が発生するため、寸法精度が落ちて表面が綺麗にならないという欠点があります。

また熱間鍛造は非常に高温のビレットを圧縮成形するため、熱的負荷の影響が大きく金型の摩耗が早く、数千ショット~数万ショットで寿命を迎えてしまいます。

温間鍛造用金型

熱間鍛造と冷間鍛造の長所を併せ持った温間鍛造をおこなう時に使用する金型です。冷間鍛造よりも複雑な形状の成形が可能で、型の寿命も熱間鍛造より長い特徴があります。

冷間鍛造用金型

常温の環境下で金属に圧力を加えて成形する加工方法で、金属の塑性を利用して加工するため塑性加工とも呼ばれています。製品にバリなどの材料ロスをほとんど発生させず高速に加工することもできる特徴があります。

冷間鍛造用金型で成形された製品は熱収縮やスケールが生じないため、表面の精度もよく機械加工での仕上げもほとんど必要ありません。また高温のビレットを加工するわけではないため金型の寿命も長く、数万ショット~数十万ショットと非常に高寿命でもあります。

ただし、常温で成形できる形状には限界があるため、大きなビレットであれば変形抵抗が大きく金型が破損してしまう可能性もあるため、ボルトやナット、歯車など小型で強度が求められる部品の製造に使用されます。

さらに1回の塑性変形には限度があるため、金型を製作しても角やR形状の仕上がりには制約があます。そのため複雑な形状を成形するには複数の金型が必要で、その分採算性が悪くなるというデメリットがあります。

型鍛造の方法

型鍛造の方法も「半密閉鍛造」「密閉鍛造」「閉塞鍛造」「中空鍛造」の4つに分けることができます。

半密閉鍛造

半密閉鍛造

一対の金型でビレットを押し付けて高さや大きさを変えたり一部を盛り上げたりします。型の隅々までビレットを流し込み欠肉を防ぐため、成形後はバリが生じます。

密閉鍛造

密閉鍛造

上型から下型まで隙間なくで密閉してビレットに圧力を加えて成形します。成形できる形状が限られるため丸ものやボルトの頭部形状の成形に使用されます。

閉塞鍛造

閉塞鍛造

型に入れたビレットをパンチと呼ばれる工具で押し込み圧力をかけ、金型全体に流動させます。パンチの形状や数によって複雑な形状を成形することも可能です。丸ものに複数の軸がついた形状やフランジがついた部品も作ることができるため、自動車の車軸の継ぎ手部品の製造に使用されています。

中空鍛造

中空鍛造

上下の型を閉じ込めた後、成形ピンを挿入して中空状態を成形します。水平方向からだけでなく、上下2方向からも成形ピンを挿入することで複雑な形状の成形や複数部品を一体化することができます。