モノマド辞典:鋳造用金型

鋳造用金型とは

鍛造用金型とは、材料である金属を溶かして流動性を持たせ、材料を目的の加工物の形状に成形加工するための金型をいいます。金型は砂型と違い、できあがった鋳物を取り出す際に壊すことなく数千~数万回繰り返し使用できますので大量生産に向いています。

そのほかにも砂型と比べて寸法精度が優れていることや、鋳物が緻密で機械的性質に優れているという特徴もあります。さらに金型は砂型と違い熱伝導に優れているため、冷却速度が速いことも大規模な生産工場での大量生産に向いている理由の一つとも考えられます。

反対に、金型の製作は緻密な形状を製作するため多くの製造時間を必要とします。そのため金型製作のコストが高く初期投資が高くなりがちです。また、複雑な形状や大型の製品の製作には向いていないという特徴があります。

金属を溶かして成形する鋳物は、鉄系鋳物、非鉄系鋳物に大別されます。

鋳造用金型とは

鋳造用金型の種類

鋳造用金型は大きく「重力鋳造用金型 」「低圧鋳造用金型」「ダイカスト用金型」と呼ばれる3つの種類に分けることができます。金型を使用して目的のものを作ることに変わりませんが、金型への注湯方法が違ってきます。

重力鋳造用金型

重力鋳造用金型

重力鋳造用金型は型上部に供給口が設けられ、上から下の型内に重力によって充填される形状の金型です。この重力鋳造用金型を用いた鋳造方法を重力鍛造またはグラビティ鋳造とも呼ばれています。

重力鋳造用金型は鋳造方法自体が非常に容易に条件設定できることや、砂中子を使用して複雑な形状が成形できるため、製品形状に左右されにくいという特徴があります。また、熱処理もできるため機械的性質の安定化も容易におこなえます。

しかし金型へ供給する時に酸化物を巻き込んでしまったり、金型への充填速度や供給時の流速調整が困難というデメリットもあります。

重力鋳造は簡単に製品が生産できるため従来は難しい工程でしか生産できなかった部品を重力鋳造用金型で生産できないかなどの検討が多くされているため、コストダウンに大きく貢献できる製造方法ともいえるでしょう。

低圧鋳造用金型

低圧鋳造用金型

低圧鋳造用金型はLP型(ロープレッシャー)とも呼ばれ、密閉容器内の容湯面に低い気圧を与えて重力とは反対方向に材料を押し上げて注湯する方法です。気圧の変化によって型内の隅々まで行き届くため、高品質な製品を作ることができます。

また、中子(なかご)を使用すれば中空やアンダーカット等の複雑な形状の製品も作ることができます。

一方、低温・低圧で鋳造するため薄肉の鋳物の加工には向いていません。さらに気圧を変化させてゆっくりと材料を流し込むため製造時間が長く、生産性は良いとはいえません。

しかし近年ではアルミニウム合金などの注入をコントロールする給湯装置を開発し、低圧鋳造が苦手としていた薄肉で軽量な鋳物を成形したり鋳造時間を短縮する加工技術も向上してきました。

ダイカスト用金型

ダイカスト用金型

溶けたアルミニウムや亜鉛、マグネシウムなどの合金を素早く高圧で金型内に流し込み、急速冷却をして製品を製造するための金型です。元となる金型次第で高精度で複雑な形状の製品も作ることができる最新の鋳造方法で、生産性も高くコスト面でも有利な製造方法ともいえるでしょう。

しかし、溶けた金属を金型に流し込む時に周囲の空気が製品に入り込む傾向があるため鋳巣が生じます。さらに大量生産に向いている金型であるものの、通常の金型に比べて金型の製造コストが高く、寿命が短いという特徴もあるため、寿命を迎えた金型は再び同じ金型を製作する必要があります。そのため少量生産には向いていない金型でもあります。

ダイカスト用金型によって製造されるものには、自動車のエンジンやトランスミッションなどのアルミの部品が最も有名です。さらに身近な製品としてパソコンやプリンターなどの本体部分、釣具のリールやカメラなどがあります。